濁点を囲う

言葉、考えごと

いのちという塊は、 案外こうも 素朴な ふた回りの えかきうた。

アミ目

アミアミ 多次元 あたり目いくつ どこを潜れど 今日は今日で ちがう今日

太陽みる

生かされてコースターの輪 熱で稼働する鉢 此処に或るというだけで いのちを遂行する思考停止 肉体に根を張り 何の為の私か あいつだけには、見透せているのか

ナンバープレート

羽の生えた暗号 割り入って向こう側 今朝も素通り 栄えある誰かの今日に 運ばれてゆくのを 静かに見ていた 天使と目が合った。

納豆

ふわり ねばり からまり かさを増す心地、 香り立つを育てる。 まわり うねり つらなり 三回転半ブランコ乗り、 重力を遊ぶ。 -------------------------------------------------------------------- 今週のお題「納豆」

シグナル

信号灯ちかちか 鏡の路面が光をすくう 眩しくて 寂しくて 今なら見つけてもいいよ きっと隠しきれないから 足元塗り潰す、赤や緑 強引に暴かれた私 本当のところ 黒くて潤む町

細い管

逆流呑み込む、柔い喉 錆を着こなす、密な息 ねえ、もっと 洗い晒しに乾かして つまらないことを笑いたい

〈考えごと〉主義主張しない生存戦略の話

昔から、息をするように人に合わせる生き方をしてきた。 子供の頃は、利己的な性格をしたリーダー格の子について回った。 波風を立てずにいられれば、得なポジションだった。 私は、波風を立てないことは得意だった。 友達になる子が、誰かを陥れようとして…

アリの道

一寸先のみ語る、 なにがしの背中。 甘い見立 「確かにそこに有り。」とだけ。 「決してああはなるまい。」 見下ろしビスケットかじる 君の群れ。

揺るす朝

涙舟に乗る ゆりかごの朝 感情にくるまり 夢の残り香に 瞬きをゆるす

花火

この世界ぜんぶ、君の瞳の色の夜。 真空のアラーム。 遠く熱い粉が降る。 私の脈は散らかって、 吸われて拾い集められずに経る。

いつもの七月七日

燦然たるネオン 闇を遊び、 縦横無尽なる銀河鉄道 星間を縫う こんな時代に 「天の橋のひとつもかけられぬ」 夢か現かも知れぬ、 君の嘘

雨色回転体

仰向けば流る、 色水の死骸 彼は漂えど、 私は押し流される いつか雨が降ったら、 綿菓子の腕を掴み、 メリーゴーランドに乗り込もう 浮き足立つ私の心浸して、 何処へもいかぬようにそこでみててよ ハッピーバースデイ

濁点を囲う

大洋の白と、 疵をかき消す二重線 生まれたてに染む、 濁りを包含する 追憶と私の部屋